« 数字読みストーリーかな。 | トップページ | 冬至、冬至。 »

2009年12月20日 (日)

風がびゅんと吹いたから。

あまりにもステキな散歩をしたのだ。

今日は、午前中に心斎橋でサンパツをして
天気がいいし、寒さも心地よく
おーし、歩いて梅田まで行って定期買って、
あれとこれを買って帰ろう、とトコトコ歩きだした。

なんとなく心斎橋筋の人の多さを避けたく、
いったん地下街に入ったけど、なんか適当に地上へ戻った。

ああ、やっぱり御堂筋沿いを歩こうかな、
どんどこ北へ行けばいいんだしーと、御堂筋に出た。

人は少なく、風が吹き抜けてかなり寒いけど、
青空で、なんかええ感じだった。

船場あたりを越えたぐらいで、前からチャリに乗った女の子が、
こんな風がびゅうびゅう吹くなか、なぜか?日傘をさして
前からやって来るのだ。お日さんも、日焼けが気になるほどの
照りじゃないのに、危ないなぁ・・と思いつつ、通り過ぎた。

少し行くと、どぁああっと突風が吹いて、
ちょうど私は建設現場の前を通り過ぎようとしていた。

その私の真横を、ヒュアアアア~~~~!!っと、
さっきの日傘が地面に転がり抜き去って行った。

しばし、呆然。あまりのスピードに日傘をつかむ間もなく、
日傘は、停まっている車にあたって、転がるのをやめた。

チャリに乗ったおっちゃんが、日傘に近寄り拾い上げた。
日傘の女の子は、そこまで戻ってきて私の横を通り過ぎるとき、
「すいません・・大丈夫ですか?」と申し訳なさそうに声をかけた。

その日傘が駆け抜けて行った時、
私の横には小柄なおばちゃんがいて、ちょうどそのおばちゃんと、
私の間を日傘が転がって行ったわけで。

おばちゃんと2人で、「あ、大丈夫ですよ」とかなんとか、
言って、「気をつけてね~」と女の子に手をふって、そこを過ぎた。

で、それがキッカケ?で、おばちゃんと
「いやー、建設現場の前だったから、資材かなんかと
思ってびっくりしましたよー」
などと声をかけると、おばちゃんも、
「あんな風やったら傘は危ないよね~」と、
それからしばらく、寒くなりましたね、とか
今日は天気よくていいですね、とか他愛もない話を歩きながらした。

おばちゃんが、ふと
「私ね、むか~し御堂筋の近くで働いてたのね。
それで、この銀杏並木がどうしても見たくなってね、
歩きに来たのよ。」と言う。

「え、うあぁ!そうなんですか。私、心斎橋で用事あって、
梅田まで歩こうかなぁと思って、それで御堂筋から行こうかなって。
ここの銀杏並木、いいですよね・・」

「そう、私が働いてるころはね、もっと小さくてね。
でも、全然変わってないの!道沿いのね、建物はそれは変わったけど、
この銀杏は変わってないのよね、生命力があるわよね。
銀杏は、氷河期時代からあるんですってよ。すごい生命力じゃない?」

「え、うわ、知らなかったです。氷河期時代からなんですか。
生命力って、そうですよね。ギンナンの実、ものすごい栄養ありますもんね、笑」

「そうよ、2粒3粒ぐらいでもね、じゅうぶんいいのよね、笑」

と、なんだか、こんな会話をしながら、
もう船場センタービルやらのあたりまで来た。

「私ね、息子3人おってね、ひとりはね
二十歳の成人式の日に交通事故で亡くなったんよね。」

「え、成人の日にですか・・」

「うん、それでね、私はね、こうしたい!ああしたい!とか
思ったことはね、どんどんやることにしてるのね。
にんげんに平等に与えられてるんてね、時間や、太陽の光とかね、
息を吸うこともそうでしょう、笑。だから、なにもせんでも
なにかしても、おなじ時間が過ぎるんやったら、やりたいことね、
やったほうがええでしょ、笑」

「そうですね、ほんとそうです・・。なんか勉強なります・・。」

おばちゃんは、歩きながらいろんな、ほんとうにいろんな話をしてくれた。

お花が好きなこと。
お山に登るのが好きなこと。
旅行が好きで、計画するのが好きで、
いっぺんに5カ国旅したこと。
今は、旦那さんと旦那さんの母親と三人で暮らしてること。
岐阜が生まれで、大阪に働きにきて、旦那さんと知り合って
今は堺に住んでること。
私が、堺で働いてるんですよ、と行ったら、
「ええ、今私は堺に住んでるのよ、堺は実は
古い歴史があって、おもしろいのよね!」と、
飛び付くように、あそこにこれがあって、こんな時代があって・・と。

おばちゃん、ものすごーく歴史に詳しいのだ。
そして、その話がとっても上手で、どんどんどこまででも
聴いていられるのだ。奈良のお山のことも、
いろいろ説明してくれたけど、たくさんたくさん教えてくれて、
あぁ、覚えきれなかったよ。

お花も、家のお庭に200鉢ぐらい育てているそうで、
鉢の中には炭を入れてるのね、だからものすごく元気がいいのよ、と。

派手なお花より、小さくてもきれいなお花が好き。
竹筒に一輪入れたりね。

ああ、なんかとても「日本的」でいいですね。

私も山に行くのがここのところ、すごく好きで
三輪山やら、比叡山、高野山とか行きました、
なんか三輪とか高野山は、2度も行っちゃって・・
また行きたくなるんですよ、不思議ですわ、とか言うと、

そうそう、なんだかね、行きたくなるのよ、
ひとはね、時々、自然の中に行かなくちゃいけないのよ、と。

おばちゃんが一緒に住んでるお婆ちゃんは94歳だそうだ。
私のおばあちゃんは100歳なんです、と言うと、

のけぞって、うわ~そうなの~!と(笑)

で、元気なの?と聞かれたので、
数年前からアルツハイマーが出ちゃって、
いま入院させてもらってて・・と。

お母さんはたいへんやったでしょう、
こうね、まるくおさめようおさめようって、ね
するもんだからね。ひとには言わずにね、
貯めこんじゃうからね・・

ああ、もういっぱい抱えてたと思いますね、
うち娘2人なんで、なんとかこうフォロー出来るようにとかね、
思ってても、なかなか・・・・アハハ・・

うん、でもそうよ、力んなったげてね。
お母さんのこと大事にしてあげてね。

お年寄りも大事にしてあげてね。
お年寄りと住んでる住んでないでね、
やっぱり違うと思うよ。

親と子の縁は、大事なんよね。

私、息子がね亡くなったけど、
ほんとう、いっつも助けてもらってるのよね。

一番ね、母親思いやった子でね。
成人式の日にね、出かける前に私が紋付き袴姿の写真を撮ったのよ。
それがね、遺影になっちゃって。

まさかそんなね、ゆめにも思わんことが起きるの?ってね。

息子さんは、なくなったけど・・
でも、その・・居てくれてはるんですよね、きっとね。

そうなの、ほんとにね助けてもらってるよ。

かれこれ30分ぐらい歩いたかな。

もう淀屋橋を越えて、梅田辺りまで来た。
私は地下に寄ろうと思ってたので、
ちょうど交差点だったから、

あ、じゃ私こっちへ行きますわ。

ほんと、今日会ったみたいに思えないね!
昔から知り合いみたいね、笑。

いや、ほんとそうです。ご無沙汰ですね~!って
そんな風に思っちゃいましたよ、笑。

じゃ、ありがとうね!元気でね!
お母さん大事にしてあげてね!

と、握手した。

おばちゃんの手は温かくてで、思わず

「うあ、あったかい!私の手、冷たくてゴメンナサイ!」
と言ってしまった。

じゃ、ほんとありがとうね!

と、手を振って別れた。

なんて、なんて、ステキな散歩をしたんだろう。

走り書きみたくメモっているけど、
言葉には出来ないような時間であった。

ぎゅうぎゅうに詰めたおばちゃんの人生の智慧を
私に話してくれたみたいだった。

もし、あのとき、
心斎橋から地下に潜ったまま、
ウロウロしてたら、おばちゃんには会えなかったね。

もし、あのとき、
日傘の差した女の子の傘が飛ばされなかったら、
おばちゃんに声をかけることはなかったね。

もし、そう、あのとき
「風が吹かなかったら」

おばちゃんに会うことはなかったのよ。

自然の中に居ること、

どんな都会であれ、自然を感じること。

おばちゃん、すてきなお散歩ありがとう◎

|

« 数字読みストーリーかな。 | トップページ | 冬至、冬至。 »

散歩メモ」カテゴリの記事

コメント

 これってそのまま、お話です、すごい。

このおばさん、お母さんっ子を亡くされたんですね。
さらっと、道を歩きながら話せるようになるまでに、どんだけ時間かかったものやら。
幸せの絶頂から、悲劇のどん底に落とされたことです。
自分の子供はみな、愛おしいけど、お母さんっ子というのは、多分お母さんと波長が似ていて、阿吽の呼吸で意思疎通ができるような子を、お母さんっ子というのだと思う。
多分、食べ物の好みも似ていたりね。
そんな子を亡くされたなんて、運命は残酷なことをします。

そのおばさんは、なんとなく、クリさんなら、気持ちをわかってくれるような気がして、話しはったんかも。

日傘持った子は、六角堂のお地蔵さんのお使いとも思える。

少し、幻想的な空気がでてて、クリさんの持ち味ですね。

投稿: タバサ | 2009年12月21日 (月) 15時55分

長い長い文読んで頂き、おおきにです◎
なんか、不思議な30分でしたよ。
とめどなく、おばちゃんが話してくるんですが、
これがほんと上手なんですよ。
歩きながら、どんだけでも聴いてしまうというか。
亡くなられた息子さんは、きっとお母さんに
似てたんちゃうかなと思いましたよ。
お話上手の聴き上手で、活発で、明るいというか。
傘の件がなければ、きっと話かけなかったから、
タバサさんの言うように、
日傘の女の子はお地蔵さんのお使いかもですね

おばちゃんが
「ひとは時々、自然の中に行かなくちゃいけないよ」というコトバは、
私にとって来るべくして来た「コトバ」だなぁと思ったんですが、
だから、それを聴くための風が吹いたんでしょうね~。

やっぱりね、歩くとね、
なんかおもしろいです

投稿: くりちゃん | 2009年12月21日 (月) 23時16分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 数字読みストーリーかな。 | トップページ | 冬至、冬至。 »