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2010年1月31日 (日)

『Drパルナサスの鏡』 のこと。

先日観た『Drパルナサスの鏡』 勝手に解釈をしてみた。
めちゃくちゃ長くなったし、あとストーリーをほぼ網羅して書いているので、
今から観る人とか、あらすじ知りたくない人は、飛ばしてください。

あまりに長いから「続きを読む」形式にしました。
興味のある方は、以下クリックでどうぞ・・◎

『Drパルナサスの鏡』 

あらすじ(wiki引用)
数世紀前に悪魔との賭けにより不死の命を手に入れたパルナサス博士は、自分の娘を16歳の誕生日に悪魔に引き渡さねばならなくなり、苦悩していた。彼は自身の率いる、他人の想像の世界を垣間見る鏡の見世物を巡り、パーシーら古くからの仲間とともに興行を続けながら、何とか悪魔との賭けに勝利する手立てを画策していた。そんな折、博士はタロット占いの「吊られた男」のカードが示した、橋の上から吊るされた若者トニーを死から救う。助けられたトニーは商才を発揮して見世物を繁盛させ、博士の助けとなるが、悪魔との賭けのタイムリミットは目前に迫っていた。

トニー:ヒース・レジャー
パルナサス博士:クリストファー・プラマー
Mr.ニック:トム・ウェイツ
ヴァレンティナ(パルナサスの娘):リリー・コール
アントン:アンドリュー・ガーフィールド
鏡の向こうのトニー#1:ジョニー・デップ
鏡の向こうのトニー#2:ジュード・ロウ
鏡の向こうのトニー#3:コリン・ファレル
パーシー:ヴァーン・J・トロイヤー


はじまりは、見世物ステージから。
アントンが銀色の顔で司会進行している。
パルナサス博士は、透明の円柱の上にあぐらをかいて
まるで、宙に浮いているかのように登場する。
娘ヴァレンティナは、まるでお人形さんみたいだ。

Parnassus1


馬で引いて移動するステージは、住居も兼ねていて、
これはもう、ワクワクするアートワーク。これ作った人すごいな。

Parnassus2


で、見世物ステージの演目というのは、
パルナサス博士がトランス状態になると、
鏡の向こうに入り込んだ人の想像の世界を垣間見ることができる。
これは、興行ではなく「本当にみる」のです。
観客だけが、それを知らない。ただの見世物だと思っている。
幻想館は、ホンモノなのです。

パルナサス博士がステージで「トランス」に陥るとき、
博士の顔は白塗りで、額に「赤い丸」を描いてる。

観た瞬間「これは、見たまま日の丸を連想するしかないなぁ」と思った。

Parnassus4


その後、ステージが終わり衣装を着替えると、
博士も娘もまるで「着物」のような羽織を身にまとっている。
それは、イメージするなら大正時代というか、
ちょっとモダンな時代の着物風というか。羽織の柄が気になったけど、覚えてない。

白塗りの顔に赤い丸と、まるで着物のような普段着に、
これは確信的に「日本」というイメージを「使っている」と思えた。

さて、見世物をするべく見世物ステージ兼住居は、
パーシーの運転で(馬ですが)進んでゆく。

住居の中では、パルナサス博士がヴァンに「過去の事実」を
伝えようとしているが、なかなか話は進まない。

ちょうど、橋を通り過ぎようとしたとき川面に
怪しげな影が・・。

アントン、パーシー、ヴァンで川を覗いてみると、
橋の下で誰かが「首つり」をしていることがわかった。

これは大変だ!と、3人でその「首つり人間」を助け出す。

博士はその時、タロットカードをめくっていた。
出てきたカードは12の「吊された男」だ。

ようやく首つり人間を橋の上に引き上げ、
アントンが胸を一発どつくと、口から何か(パイプ)吐き出して、
男は息を吹き返した。

しかし、男はぐったりしたままなのでトランクに押し込んで
パルナサス一行は、その先を進んだ。

朝になり、男はトンラクから這い出て来た。
状況がわからず、おろおろしているところに、
パーシーが気付き、あれこれ問いただすが、
あまり覚えてない様子である。

アントンもやって来て、携帯とか持ってないの?と、聞くと
男は持ってないと答える。が、ポケットから携帯の着信音が鳴り出した。
男は慌てて隠そうとするが、アントンがそれを奪おうとして、
地面に落ちて、たぶん壊れたかと。(正体がバレるのが嫌だから?)

男は名前がわからないようで、とりあえず「ジョージ」と
ヴァンが呼び始めた。

結局、「ジョージ」はアテもないので、
パルナサス博士の見世物ステージを手伝うことになる。

「ジョージ」は、営業マン?に向いていたのか、
それまでステージに、あまり観客が寄りつかなかったのに、
ジョージの声掛けで何人も集まって来た。

しかし、そんなジョージを見てアントンが妬いてしまったのか、
ジョージが呼んできた客をむりやり「鏡」へ引き込んでしまい、
その場がパニックになり警察までやってくる始末。

結局、ステージはむちゃくちゃになり、
パーシーは、アントン、ジョージに「あっちいけ!」とおかんむり。

アントンとジョージは、2人で移動ステージの屋根の上で、
話をし始めた。

アントンは、ちょっと酔っ払っているせいか饒舌。

博士のことをジョージに説明するアントン。

幻想館はホンモノであること、

ジョージはアントンに、
「そんな力があるのなら、世界を操れるんじゃないのか?
こんな見世物なんかやらなくてもいいじゃないか。」
というようなことを言った。

アントンは、
「博士は、世界の秩序をまもりたいだけだ」
と言った。(セリフは曖昧です、だいたいこういう感じのこと)

そう、白塗りの顔に赤い丸をつけた博士、
普段着に羽織を愛用している博士、
その博士は「世界の秩序」について考えている。

具体的に、だから・・こうだ、と書かないまでも、
何を言いたいか、わかってもらえるかと・・。

博士は先程のパニック中にケガをしてしまい、
住居の中でヴァンに介抱されているが、とてもうなされている。

博士は夢の中で、自分の昔々を観ている。

博士は1000歳を超えている。(現実に)

博士の昔は「僧侶」
その時に、悪魔に出会う。
悪魔は吹雪く雪の中を「遮光メガネ」をかけて
馬に乗ってやって来た。

僧たちは口から口へと物語を紡ぎ続けている。
『物語を紡ぎ続けないと世界は崩壊する』と言う。

悪魔は、僧(博士)の前にやって来て、
「紡ぎ続ける口」を次々と塞いでいったのだった。

ここの描写は、非常に興味深い。
映像も、奇妙な仏像、不動明王?のような像もある。
チベットっぽい感じでもあるし(色目がなんとなく)、
不思議な空間。

この『物語を紡ぎ続けないと世界は崩壊する』というのは、
むかしむかし口承することで、次世代に「おはなし」を
伝えて来た先住民族の暮らしを思い出した。
例えばアイヌのユーカラも、口承で伝えられてきたものだ。
むかしむかし文字のなかった頃は、口承でいろいろな
物語が伝え続けられてきたのだ。

映画の中で、悪魔はその「口」を塞いでしまう、というのが象徴的。
そう、むかしむかし、平和に暮らしていたのに、
「口を塞ぎにやって来たものたち」が居たことを思い出させる。

このシーンは、おそらくそういう描写じゃないだろうか。

僧(博士)は、悪魔と賭けをすることになった。
不死の命を手に入れたものの、娘ができれば
16歳で差し出さねばならなくなった。

それがヴァンであり、彼女はあと3日もすれば
16歳になるのだった。

16という年齢を引き渡しの設定にしたのも、
タロットを小道具に使うぐらいだから、
16の塔を象徴しているのでは、と思われる。

16の塔のカードには稲妻が描かれいる。
塔は崩壊している。稲妻は祝福の光だ。
塔が崩れゆくのは、不完全なものが「稲妻」というエネルギーに
耐え切れず崩れ去る。それを受け止められる者のみ、
新たな段階へ至る「梯子」が与えらる。
http://zerogahou.cocolog-nifty.com/photos/22/index.html(参考サイト)

つまり、16の意味を考えれば、
この現代の世のおかれている状況を見つめてみて、
ということではないか、と思える。

バランスを、調和をとる、そういう時期に入っていること。
完全だと思われていたものは、実際は不完全である。
しかし、それもなくてはならなかったものではないかと思う。
いつか崩れる塔に、わからずとも住んでいたのは私たちだということ。
だから、崩れる事実を受け止めるべきだ。

ジョージ(後のトニー)は、
パイプで「歓喜の歌」を吹く。これも、
あえて「歓喜の歌」を選んだのでは・・と思える。

人は歓喜せねばならぬ。


博士が、うなされているときに
また悪魔が顔を出した。

悪魔は、今から5人、鏡の中へ引き込んだら
娘を引き渡す約束は、チャラにしようとまたも賭けを持ちかける。

博士は、最愛の娘を渡したくないので、
その条件を飲むことにした。

翌朝、博士はジョージの「ほんとうの名前」を言い当てる。(トニー)
トニーは、驚くがこれ以上自分の正体がバレては困るので、
これからの見世物のステージをもっと「モダン」にしようよと、
話を切り返す。

博士は、今のスタイルから「モダン」にすることに、ヴァンに相談。
ヴァンは、自分の意見で決めてもよいことに喜んで、
トニーの意見に賛同する。

その夜の、ステージはそれはそれは大盛況であった。
大富豪のご婦人たちが、次々と鏡の世界へ入り込み、
出て来た時は、富をすべて差し出して、うっとりして帰ってゆく。

とうとう4人まで、鏡の世界へ入り込んだ。
あと一人で、ヴァンを引き渡さずに済むのである。

しかし、ここでトニーの過去を知る男どもが
トニーを見つけてしまう。
トニーは実は、慈善事業でお金巻き上げた「悪党」だったのだ。

トニーは、つかまれば殺されると逃げ回り、
鏡の世界へ入り込んでしまった。ステージはまたもパニックに。
男どもも、トニーを追いかけ鏡の世界へ・・

彼らの想像の世界は、ゆるやかな丘が広がる
白い雲に青い空、なんとも平和な景色。(なんで?悪党も人の子?)

トニーは、男どもに追いかけられていますが、
「梯子」が目の前に現れ、それに登り始めた。

当然、追いかけてきた男どもも登り始める。

トニーは梯子を蹴って、男どもを落とすが、
梯子は、トニーを乗せたまま真っ二つに割れた。
しかし、トニーはそれを「竹馬」のように操って、またも逃げる逃げる。
が、結局、岩に躓き助けに来たアントンを下敷きにして
地面に叩きつけられた。

追いかけてきた男どもは、アントンにも手を出しのしてしまう。
トニーも締め上げられそうになったところで、
鏡の世界は、トリッキーな幻想の世界を映し出し始めた。
ポリスマンたちの変なダンス、「お母さん」の家。
男どもは、すっかり魅了され悪魔の用意した
「お母さん」の世界へ4人とも入り込んでしまった。
(デカイ図体のお母さんの股ぐらの中へ・・、笑)

トニーは、アントンに自分は慈善事業に翻弄され、
騙された側の人間として自分の身の上を話す。
アントンは、同情してトニーを信用してしまう・・。

さて、これで博士も悪魔も4人を引き込んだので、
博士が先に5人目を引き込まなければ、ヴァンは
悪魔の元に行ってしまう。

もう時間がない。

その日の夜更け、博士はヴァンに「過去の事情」を説明した。

ヴァンは、自分を引き換えにされたことや、
誕生日が来れば、悪魔のもとへ行かなくてはならないことで、
パニックになり、泣きながらどこかへ行ってしまった。

トニーは、それを見て、
「自分が5人目になる」と博士を説得する。

だから鏡の世界へ入れてくれと、博士をトランス状態に
しようとする。

なかなかトランス状態にならない博士。

その間に、ヴァンが戻って来て、博士を罵ったり、
暴れたりする。
そんなヴァンを引っ張って、トニーは鏡の世界へ入り込んだ。

鏡の世界で、ヴァンとトニーは恋人同士のようだ。

トニーは、現世と同じ慈善事業の広告塔のような立場で、
ヴァンを同伴してパーティーに登場した。

派手なパーティーで「赤いドレス」をまとったヴァン。
トニーは、慈善事業の会長に気に入られていて、
そのパーティーで紹介されようとしている。

が、そこに少年になったアントンがやって来た。

ヴァンに、その男は悪党だという新聞記事を手に、
トニーは嘘をついてる!とアントンは言う。

しかし、トニーは
「新聞記事なんて信用するな!」と、必死で抵抗するが、
少年アントンと取っ組み合いになり、
パーティーの席上で「少年をいじめている」かのように、
観客の目に捉えられてしまった。

観客たちは、騒然。
記者やら関係者たちに、追い掛けられるトニー。

ヴァンは、トニーを信用していたが、
それが嘘だったことにショックを受ける。

ヴァンは、やけになっている。
ヴァンは、自分から鏡の世界へ入り込もうとするが、
悪魔に止められ「ダンス」をし始める。

しかし、ダンスが終わってヴァンが飛び込んだ鏡の世界は、
悪魔が用意した方であった。悪魔も、びっくり。

結局、5人目をクリアしたのは悪魔で、
まさか「賞品」であるヴァンが5人目になるとはな・・と、
悪魔と博士は一望できる岩の上に座って、話し込む。

Parnassus3

「あの男どうにかならんのかね」と悪魔。
(トニーのこと)

あの額のしるしはなんだよ、と悪魔。

トニーは首吊りから助けられた時、
額に「ピラミッドアイ」が描かれていた。雨で消えたみたいだが。

博士にトニーをどうにかしてくれたら、娘を返してもいい
と、またも賭けを持ちかける。

おそらく悪魔にとっては、トニーの存在は、
運が強すぎて邪魔だということなのかな。
なんせ額にしるしが入った男である。

言い方はうまくないけれど、純粋に悪党なのだろう。

博士は、逃げ回っているトニーの前に現れ、
トニーが大事にしていた「パイプ」を出してきた。

このパイプ、のどに入れておくことで
「首吊り」しても息が通る仕組みみたいで、
冒頭のシーン、橋の下で首を吊ってたときも、
このパイプのおかげで、生きていたわけで。

で、またもトニーはこのパイプで
皆には首吊りしたと見せかけて、生き延びようと
博士からパイプを取り返そうと必死になった。

博士は左手と右手のどっちか選べと、
トニーに選択させる。トニーが選ばなかった方を、
博士は飲み込んだ。

トニーは取り返したパイプを飲み込んで、
追いかけて来た観客や関係者の前で、首を吊ろうと準備した。

トニーが縄に首をかけ、
観客たちが迫って来た時、
博士は、飲み込んだパイプを吐き出した。
パイプは、粉々に砕けた。

トニーはそれを見て、自分の選んだ方がホンモノだと思い、
観客たちが辿り着いた時に首を吊る、

が、博士はもうひとつ砕けてないパイプを口から
吐き出した。

そう、トニーが飲んだのはニセモノのパイプ。

哀れ、トニーの肉体はあの世へ旅立ってしまった。


その後、博士は砂漠の中を延々とさまよい続けている。
死ねないのか、またも選択する看板が。

もう選択なんぞしたくない、と。

街中の往来の激しい片隅で、博士は浮浪者になっていた。
頭を下げて物乞いをしている。
ボロをまとい、悲しみに暮れているかのよう。

その前を、鈴の音が通り過ぎた。

昔、娘ヴァンには、足首に鈴をつけていた。

その鈴の音のする女性を博士は追かけた。
女性は、「雨」という看板のかかったレストランに入ってゆく。

女性が辿り着いた席には、小さな女の子と、
彼女の旦那さんと思われる男性が座っていた。

仲睦まじい光景。

博士は窓越しに、目を細めて眺めていると、
足元でパーシーの声が。

中には入れないよね、と。

昔、娘ヴァンと一緒に見世物興行であちこち廻っていた頃、
ヴァンは「普通の生活」に憧れ、インテリア雑誌を
いつも眺めていたのだ。

いま、娘は自分と同じように女の子を授かって、
普通の生活で幸せに暮らしているのだ。


博士とパーシーは、2人で、
「幻想館」の模型を路上で売る仕事をし始めた。

遠くで、悪魔が眺めている。
博士も悪魔を遠くから見た。

パーシーが、博士に「仕事しなさい!」と激をとばす。

エンドロールへ。


悪魔は、「悪魔役」をやっている悪魔であり、
トニーがほんとの意味で「悪党」なのだなと。

なので、トニーの最後は肉体の死で終わる。

悪魔は、お役があるから
まだ博士と共に世の中に居るのだ。

悪魔と博士は相対的な存在なのだと思う。

どちらにも「役」がある。

どちらかが欠けてもダメだし、
どちらかが相手をたたきのめしてもダメだ。

非常に、おもしろいストーリーであった。
作者の意図は知るよしもないが、
勝手に解釈して、楽しかった。

テリー・ギリアム監督がインタビューで
「例えば、ロンドンで大雪が相次ぐと、語られるのはビジネスへの悪影響ばかり。楽しいこともあるかもしれないのに。だから、幻想館は呼びかける。『この世界を別の角度から見て違う人生を想像してごらん、そうすれば、あなたの現実は変わりうる』と」

そうこの映画を観た「私」は、あれこれ想像を巡らせましたよ。
私が鏡の世界へ入ったらいったいどんな「想像」の景色が
出てくるだろうか、とか(笑)
頭の中は、絶えず渦巻きを描くのです。くるくるくると、ね。

長くなりついでに、テリー・ギリアム監督のインタビューを載せておきます。

公開中の「Dr.パルナサスの鏡」は、奇才テリー・ギリアム監督が、「未来世紀ブラジル」「バロン」の脚本を共作したチャールズ・マッケオンと三たび組んで作り上げたオリジナルの物語。
最初に頭に浮かんだアイデアは「これまでの自分の仕事を一望できる映画」だったという。
1000歳のパルナサス博士(クリストファー・プラマー)は、古風な旅一座を率いてロンドンを巡業、めくるめくイマジネーションの世界が体験できる「幻想館」に人々を誘うが、顧みられない。もはや想像力は必要とされないのか――。疲れ果て、宿敵の悪魔(トム・ウェイツ)に翻弄(ほんろう)される博士は、突如現れた男、トニー(ヒース・レジャー)に望みを託す。伝説的なコメディー集団「モンティ・パイソン」の一員だったころから現在に至るまで奇想と映像の魅力で観客の想像力を喚起し続けてきたギリアム監督。この作品では、想像力の存在意義をはっきりと問う。
「例えば、ロンドンで大雪が相次ぐと、語られるのはビジネスへの悪影響ばかり。楽しいこともあるかもしれないのに。だから、幻想館は呼びかける。『この世界を別の角度から見て違う人生を想像してごらん、そうすれば、あなたの現実は変わりうる』と」
幻想館で人々の目を開こうとする博士は、映画で想像力を刺激するギリアム監督の姿と明らかに重なる。「映画はすべて自伝的であるべきだと思っている。僕の知識は、経験に基づいて得たものだから。いつも経験を映画に合体させているよ」
ヒース・レジャーは、撮影途中で急死。重要な役柄である上に、現場の牽引(けんいん)役でもあった彼の死は大打撃だった。「ヒースは現場のエネルギーの中心として走り回り、面白いアドリブを繰り出し、いつもいい意味で僕らを驚かせてくれた。共に映画を作る時間はすばらしく楽しかった。僕らがあまりに楽しみすぎたから、神様が彼を連れていっちゃったのかな」
作品を完成させるため、ヒースと親しかったジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人が役を引き継ぎ、幻想世界でのトニーを鮮やかなリレーで演じる。「時間の余裕がなく、リハーサルも出来なかったから、ヒースをよく知る友人たちが必要だった。そして、彼らは魔術的演技を見せてくれた」
トニーという男には、死を連想させる言動が多い。
「奇妙なことに僕の映画では、いつも脚本とリアリティーが混ざってしまう。(若くして亡くなった)ジェームズ・ディーンやダイアナ妃に言及する場面があるけれど、それはヒースの死の前から書かれていた。怖いことだよ。身震いするほどね」(恩田泰子)
(2010年1月29日 読売新聞)

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