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2010年5月15日 (土)

タネ

以下、一分引用で載せますが、リンク先の本文は
非常に興味深いので、よかったら読んでみてください。

私のこの地味な地味なメモブログ、立ち寄ってくれる方は、
ほんまにありがとさんです。

自分なりに、
毎日何かちょっとイモヅル派生すればいいなとおもてます。
ほんまに、地球は、どうなるのか。

知る、ということも変容に向けての
アクションのひとつじゃないかなと、自分は考えてます。

なかなか具体的に何か、って出来てないけど・・。
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野口 勲「一粒のタネからのメッセージ」

http://noguchiseed.com/hanashi/hitotsubunotane.html

私は、埼玉県飯能市のタネ屋です。店売りもしていますが、お客様の大半は、インターネット通販でお求めになる全国の家庭菜園や、有機栽培で直販をしている小さな農家の方たちです。扱い品目は、固定種という、自家採種すれば親と同じタネが採れる、現代では時代遅れとしか言いようのない、昔ながらの野菜のタネです。

固定種というのは遺伝子が固定されたタネと言うことで、次に述べる一代雑種(以後F1)に比べ単一の遺伝子しか持たないので、種苗業界では「単種」と言われることもあります。要するに、大昔から人類が作り続け、タネをくり返し採り続けながら品種改良してきた野菜のタネのことです。

「なあんだ。じゃ、普通の野菜のタネのことじゃないか」と思われる方がいるかもしれません。しかし、現在スーパーなどで普通に売られている野菜のタネは、ほとんどがF1とか交配種と言われる一代限りの雑種(英語ではハイブリッド)のタネになってしまっていて、タネを採っても親と同じ野菜はできず、姿形がメチャクチャな異品種ばかりになってしまいます。タネを買った一代目だけが決められた揃いの良い野菜になるので、毎年高いタネを買わなくてはなりません。

昭和40年頃を境にして、日本中の野菜のタネが、自家採種できず、毎年種苗会社から買うしかないF1種子に変わってしまったのです。
見た目は同じダイコンやハクサイ、キャベツのタネで、できるのも昔と同じようなダイコンやハクサイやキャベツなのですが、実体は、ダイコンともハクサイともキャベツとも言えないものに遺伝子が変化しています。

変化した理由の第一は、収穫物である野菜が、工業製品のように均質であらねばならないという市場の要求です。メンデルの法則で、異品種間の雑種の一代目は、両親の優性形質だけが現れるため、見た目が均一になるのです。箱に入れたダイコンの太さが8cm、長さが38cmというように、どれも規格通り揃うので、一本100円均一などで売りやすいのです。

日本人の同じ両親の子供でも、太っちょがいたり背高ノッポがいたり小柄な体型がいたりするように、F1以前の昔のダイコンは、同じ品種でも大きさや重さがまちまちでした。そのため、昔は野菜を1貫目いくらとかいちいち秤にかけて売っていました。これでは大量流通に向かないので、工業製品のように規格が揃ったF1野菜に変わっていったのです。

理由の第二は、生育スピードの早さです。生物は、雑種になるとヘテロシス(雑種強勢)という不思議な力が働き、それまで3ヵ月かかって成長していたダイコンが、2ヵ月で一人前になるなど短期間で成長するので、F1のタネを使うと、畑を一年間に何回転も使用でき、単位面積当たりの販売額を上げることができるのです(早く成長する反面、細胞の密度が粗くなり、柔らかく大味になる傾向もありますが)。

F1以前の昔の野菜は、自家採種ができたので、野菜を出荷した後も数カ月タネ採り株に畑を占領されていました。F1は毎年タネを買わないといけないので、収穫が終わればすぐ畑を更新して次の野菜をまくことができます。経済効率最優先の時代に必要な技術革新であったとも言えるでしょう。

このようにF1は、大量生産・大量消費社会の要請で生まれました。F1作りの方法は、「除雄」という雄しべを人為的に除去する方法から始まり、「自家不和合性」という近親婚を嫌がる性質を利用する技術に発展し、現在は「雄性不稔」という人間にたとえるとインポや無精子症の個体を利用する方法へと刻々変化しています。

家庭内から漬物樽が消え、個食の時代になり、調理の時間がとれない主婦に代わって外食産業が隆盛を極める社会になった現在、野菜市場で流通する野菜の6割以上が外食産業によって購入されているそうです。外食産業にとって、規格どおりのF1野菜は機械調理に適していて作業効率がいいわけです。また、最近外食産業が、野菜産地や種苗会社に要求する理想の野菜は、「味が無く、菌体量が少なく、生ゴミの発生量が少ない野菜」なんだそうです。

「味付けは調味料を使って我々がやる。野菜になまじ味があると、レシピが狂ってしまうから困る」というわけです。こうして、ほとんどの人がまったく知らない間に、日本の野菜が、どんどん変化しているのです。

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実は、私の店は、父の代から採種業を続けており、中でも「みやま小かぶ」というカブのタネは、昭和30年代を通じて固定種時代の最高峰と自負していました。日本種苗協会が主催する全国原種審査会の「金町小かぶの部」では常に上位に入賞し続け、一等特別賞の農林大臣賞を何度も受賞していたのです。それが昭和40年代以後、F1時代の到来とともに、まったく売れなくなってしまいました。当時のF1カブは、日本の金町系小カブ(うちから出たみやま小かぶからの取り返しが多かったと思われる)とヨーロッパの家畜用カブとの雑種ばかりだったので、「生育早く、小カブだけでなく中カブ、大カブになっても形が崩れないので、市場の相場が高い時にいつでも出荷できる」というキャッチフレーズと裏腹に、味は最悪でした。今でもたいして良くなっておりませんが……。

横道が長くなってしまいますが、私が最初に実家に戻った時、父は「これからはF1の時代だ。うまいF1のみやま小カブを作れ」と言って、私をF1カブの大手種苗業者の農場に研修生として修行に出しました。そこで私が見たのは、菜の花ざかりの春、虫が入れないように密閉されたビニールハウスの中で、毎日蕾受粉をくりかえすおびただしい数のパート主婦の姿でした。

頭に手ぬぐいを被り、割烹着を着た近くの新興住宅地の若奥さんたちが、黄色い菜の花の小さな蕾をピンセットで開き、開花した菜の花を取って、来る日も来る日も同じ株の花粉を付け続けていたのです。何と何を組み合わせればどんなカブが生まれるかわかっても、販売種子を生み出すF1の片親を維持するだけで、毎年この気の遠くなるような作業が必要だったのです。この人件費だけで、どれだけの資本が必要なのでしょう。

「うちみたいな零細タネ屋が手を出せる世界ではない」ことがよくわかりました。こうして全ての産業同様、種苗業界も、資本力のある大手の寡占化がどんどん進行していったのです。

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現在封印されている遺伝子組み換え特許に、ターミネーター・テクノロジーというものがあります。米国特許572376号を取得した時のアメリカ種苗業界の雑誌『Seed & Crops』誌によると、この技術は「遺伝子操作により、種子の次世代以降の発芽を抑える技術で、これにより農家による自家採種を不可能とするものである」と定義されています。

そして、植物の種子が発芽する際に、組み込まれた遺伝子が毒素を発生して植物を死滅させるこの特許は「全ての植物種をカバーし、遺伝子組み換えによってできた植物のみならず、通常の育種方法によってできた植物も特許の領域(スコープ)に含まれる」としています(邦訳は日本種苗協会の機関誌『種苗界』1998年8月号による)。

この特許をアメリカ農務省と共同開発したミズーリ州の小さな綿花の種子会社デルタ&パインランド社は、1999年モンサント社に18億ドルで買収されました。しかし「一社による農業支配」と反対されたモンサントは、同年10月に開発計画の凍結を発表しましたが、その後同様の特許は、スイスのシンジェンタやノバルティスなどのバイオメジャーからも申請されており、試験栽培が続けられています。

2006年にはアメリカ政府とバイオメジャーの支援を受けた国々により、国連生物多様性条約会議の席上で使用を目的としたケースバイケース条項締結の動きもありましたが、否決されています。しかし今後も使用に向けての圧力が高まるのは間違いないでしょう。なにしろサブプライム問題で金融支配戦略が破綻したアメリカにとって、残る世界支配の”タネ”は、知的所有権である特許による”種子支配”しかないのですから。

タミネーター種子が解禁されたらどうなるでしょう。まず飛散した花粉と交雑可能なさまざまな栽培植物のタネが、芽を出せず死んでしまいます。また、組み換えられた遺伝子の根毛細胞は、近くの土壌細菌アグロバクテリウム(根頭癌腫病菌)とプラスミド遺伝子を交換し合い(遺伝子の水平移動)、土壌細菌に移ったターミネーター遺伝子は、ありとあらゆる種子植物にとりつき、自殺花粉を世界中に撒き散らしてしまうでしょう。植物の死は、動物の死と直結しています。一時しのぎの経済戦略が、地上を死の世界に変えてしまう危険性を秘めているのです。

一粒のナッパのタネは、1年後に約1万粒に増えます。2年後はその1万倍で1億粒。3年後には一兆粒。4年後はなんと1京粒です。サブプライム問題を発端とした金融バブルで、世界全体のGDP5000兆円を上回る4京円の証券を発行してしまったなどと天文学的数字に世界が驚いていますが、健康な一粒のタネは、こんな宇宙規模に匹敵する生命力を秘めているのです。

これからの農業は、一粒のタネから生まれた収穫物の価値を金に換算する前に、一粒のタネが持っている無限大の生命力の前に、いったんひれふすことから始めるべきではないでしょうか。

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